私の仕事2

7/22(金)天気:雨

今日は日勤、1日雨だ。

病院勤めは天候に左右されないが、最近の私は天候に関係なく散歩していたせいか雨の日の方が歩きたい衝動にかられている。

そのため巡回を多くこなして歩数を稼いでいるのだ。

精神科病棟で無駄な巡回というものはない、細やかに観察することは患者さん同士のトラブルを予防したり、些細な変化に気づくことが出来る、一石二鳥なのだ。

 

 

日勤での私の仕事は多方面にわたる。今日は入浴日だったのでお風呂への誘導や皮膚の処置、水分摂取などが午前中の仕事だった。精神科では自傷他害といって、自分を傷つけたり、他人に暴力を振るう可能性のある患者さんを隔離したり身体拘束といって拘束具を使用しベッドに拘束している患者さんもいるのだ。私はその方々の援助に多くたずさわっている。

 

 

以前体を鍛えていると言ったが、力で制圧できるからとか、患者さんが私を怖がって言うことを聞くからという理由ではない。私は20年以上そのような患者さんと触れ合ってきている経験があるからだ。様々な理由で暴力を振るったり、他の患者さんの迷惑になって行動を制限されている訳だが、入浴の誘導一つとっても複雑な判断をしなければならない。

 

 

例えば単純に入浴するか、しないかだ。1週間以上入浴せず不潔にしている患者さんを入浴させて清潔にしたいと思うのは当たり前かもしれないが患者さん各々、今まで生活してきた環境も違うのだから毎日入浴して清潔を保つというのが当たり前ではない。

 

 

医療の現場と言うのはいつも混乱している。特に精神科は自分の物差しで患者さんを見てしまってはただの変な人で終わってしまい理解が深まらない。世間一般に言われている常識では測れない部分が多いからだ。家庭環境、生い立ち、発症時期、多角的に患者さんを観察し想像力をはたらかせて患者さんを全体像を思い描ければならないのだ。

 

 

まじめな看護師ほど固定観念によって嫌がる患者さんを入浴させようとしたり、自分の生活に対する考えを押し付けようとするものだ。不潔なことで患者さんが陥っている不具合に目を向ける、湿疹が出来ていないか、掻痒感がないか、そのうえで入浴すればそのような症状が改善するのでお風呂に入ってみてはと提案する。動機づけと提案と言うのは良い役割を果たしてくれるのだ。

 

 

拒否されたらそれはそれで仕方がない、無理な誘導は信頼関係をおおきくそこなう原因になるからだ。患者さんの気持ちに共感し、次は入りましょうと動機づけのネタを考えるしかないのだ。皮膚状態がひっぱくしていたり体臭が他の患者さんに迷惑になる場合は、ある程度強い誘導も必要だろう。それでも相手を納得させるコミュニケーション能力は必要なのだ。

 

 

気付いたら清潔援助だけで長々と書いてしまったが精神科の援助はこれだという答えが無い、患者さん個人個人に合わせていかなければならないからだ。

午後は患者さんと作業療法を行って夕方には看護学生の指導者の反省会に参加した。

それで終わりというわけにはいかずキャリア開発なる研修を受けたのだ、回らない頭でその話を聞いていた。

昔はもっと単純だった仕事も時を経過するごとに複雑となりオジサン看護師は取り残されていく感覚をおぼえるのだ。

 

 

しかし主任になるわけでもなく万年平社員の私は、委員会などの会議で病棟を離れることなく多くの時間を患者さんと過ごしていこうと思っている。

 

 

気付いたら0時を回っていた。

今日は病棟内を頑張って歩き回り1万歩以上を達成した。