真夏の大冒険(当日)
8/1(月)天気:曇りのち時々雨
さあ今日は徒歩で10㎞離れた学校まで行くぞ!
計算では2時間かかる予定だ、7時出発だったが出発してからあれが無い、これが無いと少しモタモタしてしまった。水分だけ持てば大丈夫だと思っていたが今日は雨が降る予定、自分の傘とお店に入ったことを考えてマスクを持ち忘れていた。
さあ息子も準備万端となって歩き出す。
今日は雨の予報だったが雲間から朝日がこぼれている。今日に決めて正解だった。
学校までの道のりには難所が2か所あって歩道の無い、見通しの悪い道があるのだ。
そして朝のこの時間は出勤時間と重なるため車の通りが非常に多い。
気を付けて行こう。
長い坂が続いている、出だしから難所が行く手を阻む。
しかし4㎞のランニングをこなしている我々にとってはなんてことはない。
ここはまだ歩行者に余裕があるが車が減速せず通り過ぎていく、正直怖い。
45分ほど歩いていくと予報通り雨が降ってきた。初めはすぐにやむかと思っていたが徐々に強くなっていく、私が傘をさしてあげていたが腕が辛くなってきたのでカッパを着せた。
クモの切れ間から日がさしているのにかかわらず雨が降り続く、カッパを着せてから5分程度で雨は止んで以外に濡れなくて済んだ。
今日の最終目的地点であるアイス屋さんで水分摂取の休憩をとった。まだ開店時間ではないため無人だが外の休憩所を使わせていただいた。帰り道、疲労困憊で食べるアイスは最高だろう。
今日一番の難所にさしかかった、歩道が無く見通しが悪い。息子を後ろからガードする作戦で足早に歩いていく。私は赤いリュックを背負って目立つ格好をしていたが、この時期、草が伸びていて足も取られるしカーブでの車が一番怖い。わざと道路の真ん中近くに出て存在をアピールしたりした。対向車が来てすれ違う時など1ⅿも離れずに肩に風を感じるほど近くを通る車もいた。もしふらついて道路側に一歩足が出たらひかれてたと思う。それだけ危険だった。
やっと歩道に戻り橋を渡れば学校が見えてくる。もう少しだ。
橋からの景色も今までと違って見える。ここはとてもいい景色だ。
川がうっすら緑色に見えるのは硫黄分を含んでいるからなのだ。この本流には多くの魚は住めない。温泉地の下流に位置する川特有の美しさがある。
学校に到着した息子は早速学童へ行き、自分の冒険を自慢する。学童に来ていた子供たちはすでに息子の挑戦を知っていて噂となっていた。学童へ車で来るときに目撃していた子供が数人いて騒ぎとなっていたのだ。
息子の自慢は学童では収まらない。プール当番に来ていた先生や友達にも自慢しそのたびに「凄いね!鳥肌が立った!「何時間かかったの?2時間?凄い!」と驚きの声が次々と上がる。息子は有頂天だった、しかしまだ半分、今日の目的はまだ達成されていない。
仲のいい友達が来ないこともあり、学校ではあまり時間がつぶせず息子に次の目的地へせかされる。まだ9時半だったが昼食を予定している食堂付近へ移動した。食堂のすぐ隣は市民センターとなっていて、私知り合いも勤務しているしセンター長さんにもいつもお世話になっている。そこで昼食まで時間をつぶせると考えたのだ。市民センターへ行く途中、軽トラックへ草刈機械を積み込んでいる男性に声をかけられた。私たちが出発したころを目撃していて「ちょうど2時間くらいだったな、頑張れよ」と応援してくれたのだ、もちろん初対面の人だ。
途中で神社を発見したので帰りの安全を祈願した。
しかし徒歩での移動はとにかく時間がかかる。
市民センターにつくと職員が窓から顔を出して出迎えてくれた。市民センターの職員も目撃していたらしく私たちの冒険談を目を輝かせて聞いてくれた。隣の食堂は私が子供の頃からある食堂で20年近く来ていなかった、開店が11時と教えてくれたのでそれまで近くの吊り橋へ行ってみることにする。荷物は市民センターで預かってもらった、ありがたい。
息子が面白がって揺らすものだから酔ってしまった。
やっと11時になったので食堂へ行ってみる、お昼には早かったが朝早かったし10㎞以上も歩くと腹ペコだったのだ。本当は11時半からの開店だったようだが特別、味噌ラーメンを作ってもらった、ありがたい。
お店の店主はテレビの前で当たり前のようにタバコをふかして水戸黄門を見ている。まるでタイムスリップしたかのようだった。
腹もいっぱいになり涼しい市民センターの事務室で休憩させてもらって体力は回復、さて残り半分頑張ろう。美味しいアイスを食べるために。
しかし天気は良くなり日がさしてきた、気温がぐっと上がり二人とも汗だくとなっていた。
やはりこの時点で13㎞ほど歩いていて太ももやふくらはぎが悲鳴を上げている。息子も暑さにやや負け気味だ。
鼻の下に汗をかいてうつ向きながら頑張って歩く。首に巻いたタオルは汗で重くなっていた。
ひたすら歩くが朝と違って車の行き来は減って静かだった。
今日の冒険で息子はかなり自信をつけ、真夏の冒険第二弾はどうすると言い始めた。
お父さんにも都合と言うものがある、なぜ息子がそんなことを言い出したかと言うと市民センターで今度は登山か?と焚き付けられていたからだ。検討しよう。
今日の振り返りをしながらやっとアイスクリーム屋さんに到着し最高のアイスを味わった。写真を撮ろうと思っていたのに食べ始めてしまって止まらない、汚い絵となってしまった。
人生で最高のアイスだった。
ここから4㎞歩き自宅へ無事到着した。さあ歩数は何歩だったろう。
このスマートバンドのアプリでは合計距離15㎞ほどと表示されているが、iPhoneのアプリでは約23㎞の歩行距離だった。私の人生でもこれほどの距離を歩いたことはない。
この挑戦をやり遂げた息子を誇りに思う、父として何とか約束を果たすことでき、深い眠りに落ちるのだった。